かごマット工法技術推進協会
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工法のQ&A

Q.04 かごマット護岸が「多自然型護岸工法」であり,かつ「経済性にも優れた工法」であることを説明して下さい。

多自然型護岸工法の原点は「捨石護岸」でしょう。従って,「かごマット護岸」は捨石護岸に準ずる多自然型護岸工法なのです。そして,「かごマット護岸」は,かご網を使うことによって,捨石護岸より「経済的工法」となっているのです。


【解説】

河川の護岸工法が多自然型であるための要件は,

  1. 河岸と流水の接触面における,水や虫等の流通を妨げないこと(水と土とのふれ合いが確保されている)。
  2. 河岸に繁茂していた植物等が再生されること。
  3. 魚類等の産卵や休息,退避の場所になること。
  4. 河川としての自然な景観を害しないこと。

等です。かごマット護岸は天然石による多孔性の構造であり,捨石護岸に準ずる多自然型工法といえるのです。

そして,捨石護岸とかごマット護岸には,護岸構造を決めるための「技術理論」が整備されており,アメリカ・コロラド大学の実験成果も公認されています。

「捨石護岸」と「かごマット護岸」との構造規模の比較と経済性について説明します。
捨石護岸は,

  1. 主構造の捨石が流水に流されないためには,1 個1 個の捨石が流水の「掃流力に耐える大きさ(φ D)」を持っていることが必要となります(大きな石が必要)。
  2. 捨石工表面の流速(ν)に対して、背後地盤表面においても流速(ν0)が発生します。
  3. 背後地盤の表土を侵食流出させないためには、(ν0)を小さくしなければなりません。そのためには、適当な捨石幅(B)が必要となるのです。

かごマット護岸は,

  1. 石がかご網の中に詰められるので,流水の「掃流力に耐える詰石の大きさ(φd)」は,φ d ≦φ D といわれています(コロラド大学の実験ではφ d ≒φ D と示されています)。
  2. 詰石の径が小さくなる(φ D →φ d)とかごマットの構造幅(b)は,捨石工法で必要とした構造幅(B)より小さい構造幅(b)で,背後地盤を侵食しない小さな流速(υ0)が得られることになります(b =1/3 B ともいわれています)
  3. すなわち,「かごマット護岸」は捨石護岸に比べて,「小さい石」で「小さい幅」の護岸構造とすることができるために,「経済的工法」となるのです。
  4. しかし,かごマット護岸では,小さい詰石に対しては「小さい網目の籠」が必要となり,籠網価格が嵩みます。理論にもとづく詰石径の設定が大切です(詰石を現地採取するとき等に注意)。